ここ十数年の間に発達障害についてよく知られるようになり、ご自身で発達障害を疑い受診される方も多くなりました。
自分の困難が発達障害から来ているとわかれば気持ち的に少し安心できるし、周りの人に自分のことを説明しやすくなるため、診断がついてほしいという思いをもっていらっしゃる方も多く見られます。
ただし、発達障害の特徴をもっていたとしても診断はつかないというケースがあり、こういったケースがグレーゾーンと呼ばれることがあります。
これは、精神新患を診断ための診断基準(DSM)が設けられていることによります。
DSMでは、発達障害にみられる特徴のうち〇項目以上を満たしたら発達障害としましょう、子どもの頃から発達障害の特徴がみられていたということを確認しましょう、ということになっているのですが、
その項目数を満たさない、子どもの時のことは自分も親もはっきり覚えていない、ということになってくると、発達障害らしさがあっても診断できないということになります。
ちょっとでも発達障害の特徴がみられるのであれば診断をつけたほうがいいではないか、というお考えももっともです。
ですが、発達障害に見られる特徴がほかの精神疾患で見られる場合もあるため、診断基準に照らし合わせて判断するということは、適切な治療やサポートを行っていくために重要な手続きとなります。